【英語論文の書き方】第24回 because, since, as など 理由を表す表現
2016年8月22日 14時26分
英語で「理由」を表す表現としては、becauseやsinceなどの接続詞を用いる方法や、
because ofやon account ofなどの群前置詞を使用する方法などがあります。
しかしどれを使っても良いという訳ではありません。
そこで今回はこれらの理由を表す表現の使用上の違いを、例文を含めて解説します。
because ofやon account ofなどの群前置詞を使用する方法などがあります。
しかしどれを使っても良いという訳ではありません。
そこで今回はこれらの理由を表す表現の使用上の違いを、例文を含めて解説します。
1. 接続詞 because,since,as
理由を表すことのできる代表的接続詞としてはbecauseやsince,asが知られています。
これらの接続詞には基本的に次のような違いがあります。
また理由としての意味の強さは because > since > asの順になります。
because: 新情報として明確な理由を述べる。
since: すでに分かっている理由を述べる。
as: 補足的理由を述べる。
(1) because
becauseは「理由」を表す表現として最も一般的に使われる接続詞です。
becauseは、読者には重要な新情報として明確な理由を述べる場合に使用されます。
したがって文頭に使われることはまれで、基本的に文末で使用されます。
また強調構文で使用することができます。
<1> This instrument can be used anywhere because it has no power cord.
(この装置には電源コードがないので、どこでも使える)
<2> An iron hammer cannot be used because it causes dangerous sparks.
(危険な火花が発生するので鉄のハンマーは使えない)
<3> Hard water is unsuitable for household use because it requires much soap.
(硬水は,多量の石鹸を必要とするので、家庭用には適さない)
<4> It is because the air was polluted that the experiment was a failure.
(実験が失敗だったのは空気が汚れていたからである)
(2) since
sinceは基本的に文頭で使用され、読者がすでに分かっている理由を述べる場合に使われます。
sinceは「理由」の他に、「~以来」のように「時間的起点」を表す場合にも使用され、
理由としての意味の強さはbecauseよりは低くなります。
なおsinceを強調構文で使用することはできません。
<1> Since cancer arises from any body tissue, it is not a single disease.
(体のどの組織でも発生するので、ガンは単一の病気ではない)
<2> Since the weather is fairly mild lately, we will have no snowfall around here.
(このところ天気がかなり穏やかなのでこの辺では雪は降らないでしょう)
<3> Since most documents can now be sent electronically, we are saving a lot of paper.
(現在ほとんどの書類電子的に送ることができるので、我々は紙を沢山節約している)
(3) as
asは「~のように」のような「様態」や、「~につれて」のような「比例」の意味を表す場合など、
多くの意味で使われることから、「理由」としての意味の強さはsinceよりもさらに低くなります。
asはsinceと同様、「理由」を表す場合に使うことができますが、
基本的には補足的説明を述べる場合に文頭、文中、文末で使用されます。
したがって明確な理由を表現したい場合に使われることはありません。
<1> The moon shines as it reflects the sun’s light.
(月は太陽の光を反射して輝く)
<2> As alcohol can blur your vision, you must not drink and drive.
(アルコールは視野をぼやけさせるので飲酒運転はしないこと)
<3> At one time, garbage was not a problem as it was made up of natural materials.
(何千年も前には、ごみは天然物から出来上がっていたので、問題にならなかった)
これらの接続詞には基本的に次のような違いがあります。
また理由としての意味の強さは because > since > asの順になります。
because: 新情報として明確な理由を述べる。
since: すでに分かっている理由を述べる。
as: 補足的理由を述べる。
(1) because
becauseは「理由」を表す表現として最も一般的に使われる接続詞です。
becauseは、読者には重要な新情報として明確な理由を述べる場合に使用されます。
したがって文頭に使われることはまれで、基本的に文末で使用されます。
また強調構文で使用することができます。
<1> This instrument can be used anywhere because it has no power cord.
(この装置には電源コードがないので、どこでも使える)
<2> An iron hammer cannot be used because it causes dangerous sparks.
(危険な火花が発生するので鉄のハンマーは使えない)
<3> Hard water is unsuitable for household use because it requires much soap.
(硬水は,多量の石鹸を必要とするので、家庭用には適さない)
<4> It is because the air was polluted that the experiment was a failure.
(実験が失敗だったのは空気が汚れていたからである)
(2) since
sinceは基本的に文頭で使用され、読者がすでに分かっている理由を述べる場合に使われます。
sinceは「理由」の他に、「~以来」のように「時間的起点」を表す場合にも使用され、
理由としての意味の強さはbecauseよりは低くなります。
なおsinceを強調構文で使用することはできません。
<1> Since cancer arises from any body tissue, it is not a single disease.
(体のどの組織でも発生するので、ガンは単一の病気ではない)
<2> Since the weather is fairly mild lately, we will have no snowfall around here.
(このところ天気がかなり穏やかなのでこの辺では雪は降らないでしょう)
<3> Since most documents can now be sent electronically, we are saving a lot of paper.
(現在ほとんどの書類電子的に送ることができるので、我々は紙を沢山節約している)
(3) as
asは「~のように」のような「様態」や、「~につれて」のような「比例」の意味を表す場合など、
多くの意味で使われることから、「理由」としての意味の強さはsinceよりもさらに低くなります。
asはsinceと同様、「理由」を表す場合に使うことができますが、
基本的には補足的説明を述べる場合に文頭、文中、文末で使用されます。
したがって明確な理由を表現したい場合に使われることはありません。
<1> The moon shines as it reflects the sun’s light.
(月は太陽の光を反射して輝く)
<2> As alcohol can blur your vision, you must not drink and drive.
(アルコールは視野をぼやけさせるので飲酒運転はしないこと)
<3> At one time, garbage was not a problem as it was made up of natural materials.
(何千年も前には、ごみは天然物から出来上がっていたので、問題にならなかった)
2. 群前置詞 because of,due to,owing to,on account of,thanks to
理由を表すことのできる群前置詞としては、because ofやdue to,owing to,
on account of, thanks toなどが知られています。
これらの群前置詞は基本的に前置詞ですから、それらの後には名詞や名詞句が続きます。
これらの群前置詞には、基本的に次のような違いがあります。
because of: 直接的理由を表す最も一般的な表現。
due to: 悪い意味での原因や理由を表す。
owing to: 形式的な表現で副詞句として文頭で使用される。
on account of: 困難や問題など良くないことの理由に用いられる形式表現。
thanks to: 基本的に良い意味で文頭に使用される。
(1) because of
because ofはbecauseと同様、新情報として明確な理由を述べる場合に使用されます。
ただし群前置詞ですから名詞あるいは名詞句等が続きます。
基本的に文末で使用されますが文頭で使用される場合もあります。
<1> The combustion is incomplete because of insufficient oxygen.
(酸素不足のため不完全燃焼となった)
<2> This boiler is very popular because of its low fuel consumption.
(このボイラーは燃料消費が少ないのでとても評判が良い)
(2) due to
due toは基本的に be due toの形で、あるいは名詞の直後に置かれて、
主として悪い原因や理由を表します。
最近では文頭、あるいは動詞の後に使用される傾向がありますが、
論文などのフォーマルな英文での使用は勧められません。
<1> The accident is due to traffic congestion.
(その事故は交通渋滞に起因する)
<2> There were many premature deaths due to smoking in the United States.
(米国では喫煙が原因で早死にする人の数が沢山いる)
<3> Due to strong wind, the baseball game was postponed.
(強風のため、その野球の試合は延期された)
(3) owing to
owing toは基本的に「理由」を表す副詞句として文頭で使用することができますが、
形式的な表現になります。
<1> Owing to bad weather, the flight was cancelled.
(悪天候のため、そのフライトは中止された)
<2> Owing to the rise in oil prices, people are forced to use public transportation.
(石油価格の上昇で、人々は公共交通機関を利用せざるを得なかった)
(4) on account of
on account ofはbecause ofと同様に使われますが、because ofより冗長であること、
また形式的な表現であることから、技術文書で使われることは殆どありません。
<1> The game was postponed on account of bad weather.
(悪天候のため、その試合は延期された)
<2> The balloon is likely to burst at any time on account of
the buildup of internal pressure.
(その風船は、内部圧力が高まって、今にも爆発しそうである)
(5) thanks to
thanks toは基本的に良い理由を述べる場合に使われますが、悪い理由に使われることもあります。
また人にも物にも使用することが出来ます。
thanks toは主として文頭でつかわれますが、文末でつかわれることもあります。
なお、「理由」を表す表現としては、thanks toは口語的であり、科学技術文書ではほとんど使用されません。
<1> Thanks to his help, we managed to finish the work in time.
(彼の助けで、我々はその仕事を何とか完了することができた)
<2> Thanks to the development of medicine, people have been able to live longer.
(医学の発達で人々は長生きできるようになった)
on account of, thanks toなどが知られています。
これらの群前置詞は基本的に前置詞ですから、それらの後には名詞や名詞句が続きます。
これらの群前置詞には、基本的に次のような違いがあります。
because of: 直接的理由を表す最も一般的な表現。
due to: 悪い意味での原因や理由を表す。
owing to: 形式的な表現で副詞句として文頭で使用される。
on account of: 困難や問題など良くないことの理由に用いられる形式表現。
thanks to: 基本的に良い意味で文頭に使用される。
(1) because of
because ofはbecauseと同様、新情報として明確な理由を述べる場合に使用されます。
ただし群前置詞ですから名詞あるいは名詞句等が続きます。
基本的に文末で使用されますが文頭で使用される場合もあります。
<1> The combustion is incomplete because of insufficient oxygen.
(酸素不足のため不完全燃焼となった)
<2> This boiler is very popular because of its low fuel consumption.
(このボイラーは燃料消費が少ないのでとても評判が良い)
(2) due to
due toは基本的に be due toの形で、あるいは名詞の直後に置かれて、
主として悪い原因や理由を表します。
最近では文頭、あるいは動詞の後に使用される傾向がありますが、
論文などのフォーマルな英文での使用は勧められません。
<1> The accident is due to traffic congestion.
(その事故は交通渋滞に起因する)
<2> There were many premature deaths due to smoking in the United States.
(米国では喫煙が原因で早死にする人の数が沢山いる)
<3> Due to strong wind, the baseball game was postponed.
(強風のため、その野球の試合は延期された)
(3) owing to
owing toは基本的に「理由」を表す副詞句として文頭で使用することができますが、
形式的な表現になります。
<1> Owing to bad weather, the flight was cancelled.
(悪天候のため、そのフライトは中止された)
<2> Owing to the rise in oil prices, people are forced to use public transportation.
(石油価格の上昇で、人々は公共交通機関を利用せざるを得なかった)
(4) on account of
on account ofはbecause ofと同様に使われますが、because ofより冗長であること、
また形式的な表現であることから、技術文書で使われることは殆どありません。
<1> The game was postponed on account of bad weather.
(悪天候のため、その試合は延期された)
<2> The balloon is likely to burst at any time on account of
the buildup of internal pressure.
(その風船は、内部圧力が高まって、今にも爆発しそうである)
(5) thanks to
thanks toは基本的に良い理由を述べる場合に使われますが、悪い理由に使われることもあります。
また人にも物にも使用することが出来ます。
thanks toは主として文頭でつかわれますが、文末でつかわれることもあります。
なお、「理由」を表す表現としては、thanks toは口語的であり、科学技術文書ではほとんど使用されません。
<1> Thanks to his help, we managed to finish the work in time.
(彼の助けで、我々はその仕事を何とか完了することができた)
<2> Thanks to the development of medicine, people have been able to live longer.
(医学の発達で人々は長生きできるようになった)
まとめ
1. 前置詞 because,since,as
because: 新情報として明確な理由を述べる。
since: すでに分かっている理由を述べる。
as: 補足的理由を述べる。
2. 群前置詞 because of,due to,owing to,on account of,thanks to
because of: 直接的理由を表す最も一般的な表現。
due to: 悪い意味での原因や理由を表す。
owing to: 形式的な表現で副詞句として文頭で使用される。
on account of: 困難や問題など良くないことの理由に用いられる形式表現。
thanks to: 基本的に良い意味で文頭に使用される。
because: 新情報として明確な理由を述べる。
since: すでに分かっている理由を述べる。
as: 補足的理由を述べる。
2. 群前置詞 because of,due to,owing to,on account of,thanks to
because of: 直接的理由を表す最も一般的な表現。
due to: 悪い意味での原因や理由を表す。
owing to: 形式的な表現で副詞句として文頭で使用される。
on account of: 困難や問題など良くないことの理由に用いられる形式表現。
thanks to: 基本的に良い意味で文頭に使用される。
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執筆者紹介 興野 登(きょうの のぼる)氏
三菱電機株式会社を経て現在ハイパーテック・ラボ代表
1971年,東北大学工学部電気工学科卒業
2005年,熊本大学大学院自然科学研究科卒業
博士(工学)
日本工業英語協会理事・副会長・専任講師
日本工業英語協会日本科学技術英語教育センター長
中央大学理工学部非常勤講師(科学技術英語,Academic Writing & Presentation)
東京工業大学大学院非常勤講師(Academic Writing)
東京電機大学大学院非常勤講師(Academic Writing & Presentation)
元英語翻訳学校講師(技術翻訳)
元音響学会,電子情報通信学会,AES (Audio Engineering Society) 会員
テクニカル英語の翻訳者として幅広く活躍。
30年以上に渡り電機メーカーにてスピーカーを中心とした音響技術の研究開発に従事。この間,多数の海外発表や海外特許出願を実施。 会社を早期に退職し,神奈川工科大学大学院、日本大学,神田外語大学,上智大学,中央大学、東海大学,東京工業大学等にて音響工学および技術英語の教鞭をとる。
テクニカル・ライティングは工業英語協会の中牧広光氏に師事し、企業や大学等での研修も多数受け持つ。
工業英検1級、実用英語技能検定1級(優秀賞)、通訳案内業ライセンス保持。
2. 2013/10/02 「科学英語論文スキル・セミナー― How to Brush Up Your Academic Writing Skills―」(IEEE, GCCE2013, Tutorial)
3. 2013/12/25 「理工学学生を対象とした英語論文ライティング入門」(山口大学)
4. 2014/01/21 「科学技術英語ライティング」(名古屋大学)
5. 2014/05/21 「科学論文英語スキルセミナー」(名古屋大学)
6. 2014/10/08 “Concept of 3C’s in Academic Writing and Practical Academic Writing Skills for Students and Researchers in the Fields of Science and Technology”, IEEE, GCCE2014, Tutorial
7. 2014/12/02 「英語論文の書き方セミナー(基礎編)」(能率協会)
8. 2015/01/07 「科学論文英語ライティングセミナー」(北海道大学)
9. 2015/05/13 「理系学生向け英文ポスタープレゼンテーションセミナー」(名古屋大学)
10. 2015/06/08「科学英語を正確に書くための基本と実践講座(Ⅱ)」(北海道大学)
11. 2015/06/17「英語論文」の書き方セミナー(基礎編)」(能率協会)
12. 2015/07/08「英語論文」の書き方セミナー(応用編)」(能率協会)
その他:工業英語協会でのセミナーなど。
*************
興野先生は弊社でも論文専門の翻訳者としてご活躍されています。
これから『英語論文の書き方』シリーズとして、このような興野先生のコラムを毎月2本お届けいたします。
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最近の実績
1. 2013/09/18 「科学英語論文スキル・セミナー― How to Brush Up Your Academic Writing Skills―」(名古屋大学)2. 2013/10/02 「科学英語論文スキル・セミナー― How to Brush Up Your Academic Writing Skills―」(IEEE, GCCE2013, Tutorial)
3. 2013/12/25 「理工学学生を対象とした英語論文ライティング入門」(山口大学)
4. 2014/01/21 「科学技術英語ライティング」(名古屋大学)
5. 2014/05/21 「科学論文英語スキルセミナー」(名古屋大学)
6. 2014/10/08 “Concept of 3C’s in Academic Writing and Practical Academic Writing Skills for Students and Researchers in the Fields of Science and Technology”, IEEE, GCCE2014, Tutorial
7. 2014/12/02 「英語論文の書き方セミナー(基礎編)」(能率協会)
8. 2015/01/07 「科学論文英語ライティングセミナー」(北海道大学)
9. 2015/05/13 「理系学生向け英文ポスタープレゼンテーションセミナー」(名古屋大学)
10. 2015/06/08「科学英語を正確に書くための基本と実践講座(Ⅱ)」(北海道大学)
11. 2015/06/17「英語論文」の書き方セミナー(基礎編)」(能率協会)
12. 2015/07/08「英語論文」の書き方セミナー(応用編)」(能率協会)
その他:工業英語協会でのセミナーなど。
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