英語ネイティブの翻訳者から、ビーバーがカナダの歴史に果たした意味について話を聞きました。

2020年12月22日 14時36分

※英語原文は日本語記事の下に掲載しています。
 
自然のエンジニアであるビーバーは、
周囲の環境に多大な影響を与え、それを変えています。
木を伐り払い、池や湖を作るビーバーは、
生態系管理という意味で決定的な役割を果たしています。
広く知られていることではありませんが、
ビーバーは、カナダの歴史にも計り知れない影響を及ぼしてきました。
 
ヨーロッパでは、当時人気があった帽子を作るために
ビーバーの皮に対する需要があり、
これが、初期の毛皮貿易経済を形成する一助となりました。
交易市場や交易路が整備されたことが、カナダの発展の基礎をなしました。
そして、ヨーロッパからの開拓者は、ビーバーを安定的に供給するために
原住民の狩りや捕獲の技術に大きく依存していたので、
原住民との提携や関係が築かれました。
 
ビーバーやその皮の経済的重要性は、
17世紀後半にハドソン・ベイ・カンパニー(毛皮交易企業)が
「メイドビーバー」という取引単位を導入したことにもよく表れています。
同社は、様々な商品の価格をビーバーの皮で表して標準化し、
原住民とヨーロッパ人の会計手続きで使われる取引体系の違いを調整しました。
 
海狸香という、ビーバーの雄雌両方の肛門付近にある腺から
生成される油っこい分泌物も珍重されました。
ビーバーは、これを使って縄張りを示し、
自分の毛皮を防水し、互いを識別しあいます。
海狸香には、果物のような、ほぼ花のような香りがありますが、
これは、ビーバーが木の皮を食べることによるものです。
海狸香は、麝香のような香りがするため、香水の原料としても需要が高く、
現在でも多くの香水に使われています。
また、頭痛、歯痛、痛風にいたるまで、
多くの病気の治療に効果があるとされる薬としても売られていました。
 
ビーバーは、このように商業的価値の高い物品として、
18~19世紀にかけて、当初推定6千万~4億いたとされる頭数から
絶滅寸前まで狩り尽くされました。
しかし、ビーバーの帽子や海狸香の大流行が下火になるにつれて、
ビーバーの数も徐々に回復し、最近の推計では、
北米に600万~1,200万頭ほどいるということです。
 
ビーバーの皮から作られた様々なスタイルの帽子

ヨーロッパの商人は、ビーバーの皮の供給を主に原住民に依存していました。
 

~編集後記~

前回の記事ではビーバーの生態について知ることができましたが、
今回は、ビーバーがカナダの歴史と深く結びついているということ、
またその理由についても学ぶことができ、さらに勉強になりました。
 

(英語原文)

The Historical Significance of the Beaver
 
Beavers, nature’s engineers, greatly influence and alter their surrounding environment. They play a crucial role in ecosystem management, clearing trees and creating ponds and lakes. What is not as widely known, however, is that they have also had an immeasurable impact on Canada’s history.
The demand for beaver pelts in Europe, to be fashioned into hats popular at the time, helped to shape the early fur trade economy. The establishment of forts and trade routes served as a foundation for the development of Canada. And, as the European settlers largely relied on the hunting and trapping skills of the Aboriginal people to provide a steady supply of beaver, alliances and relations were formed.
The economic significance of the beaver and its pelt is emphasized by the introduction of the ‘Made Beaver’ currency by the Hudson’s Bay Company in the late 17th century. It standardized prices of various goods denominated in beaver pelts, and accommodated for the differences in the bartering systems used by Aboriginal peoples as well as European accounting procedures.
The beaver was also prized for its castoreum, an oily secretion that is produced from the glands located near the anus of both sexes. Beavers use it to mark their territory, waterproof their fur, and identify each other. Castoreum has a fruity, almost floral scent, attributable to the beaver’s diet of tree bark. Because of its musk, castoreum was sought after as an ingredient in perfume, and can still be found in a number of perfumes today. It was also sold as a medicine purported to be effective in treating a number of ailments, from headaches to toothaches to gout.
As such a commercially valuable commodity, the beaver was hunted to near extinction throughout the 18th and 19th centuries from their estimated original population of 60-400 million. However, as the beaver hat and castoreum craze died down, the beaver population slowly recovered, with recent estimates putting the number around 6-12 million in North America.
 

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