ボランティア
2024年12月16日 17時51分
昨今話題になることが多い社会的な孤独・孤立問題。
新型コロナウィルスによる外出自粛がきっかけで、
その問題はさらに深刻化したという話も聞きますが、
日本以外の国ではどのような対策が取られているのでしょうか。
イギリス在住の校閲者から話を聞くことができました。
※英語原文は日本語記事の下に掲載しています。
今晩、気が付くと私は、「友達がいない」と言う
日本人の多さについて「ジャパン・レポーター」という
YouTube配信者が作った動画を見ていました。
その配信者は、日本政府は「孤独・孤立担当大臣」まで
任命していると伝えていました。
ここ英国でも孤独は問題で、
約7%の人が社会的孤独や実存的孤独を経験しています。
アメリカでは、親しい友人が6人いる男性は
過去10年間で50%から24%に減少し、まったく友人がいない人もいます。
私自身も、孤独の危険にさらされている人間だと思っています。
私は68歳で、子供たちは12年前、20年前、22年前に家を出て、
妻は4年前に亡くなり、田舎の人里離れた農場で一人暮らしをしています。
とはいえ、5人家族全員で過ごしていた頃に比べれば、
今は友人も増えました。
その理由はいくつかありますが、
第一に、私は楽器(フルート)を演奏しており、
これが友人宅のオーケストラやアンサンブルの
メンバーになるためのパスポートになっていること。
第二に、私は2つのグループでボランティア活動をしていることです。
そのひとつは「リペア・カフェ」と呼ばれるもので、
月に一度、特技のある人なら誰でも村のホールに来て、
壊れたものを持って来た人たちを助けることができます。
衣類を縫ったり修理したり、ラジオやその他の電気製品を直したり、
自転車のタイヤのパンクを直したり、家具の緩んだ部分を接着し直したり、
私の場合は野菜や花の苗を入れた小さなポットを配ったり、
育て方のアドバイスをしたりしています。
これはとても社交的な活動で、
私はこの活動を通してたくさんの新しい友人を作りました。
もうひとつのボランティアグループはまた異なるものですが、
こちらも同じように楽しいです。
町から車で20分ほど離れた保護された谷間に
「フード・フォレスト」があります。
そこは約10ヘクタールの広さがあり、
日本を含む世界各国から集められた多種多様な果実や
ナッツの木で構成されています。
これらの木は、切り返しせん定などの手入れが必要です。
私たちは、手のこぎり、手おの、なたがまなど、
100年前の森林作業者になじみのありそうな伝統的な手工具を使い、
木を伐採したり刈り込んだりしています。
チェンソーのような電動工具と違って音がほとんどしないので、
みんなでおしゃべりしながら作業ができます。
この時期、私たちは何百個もの栗の実を集め、
厚手の手袋をはめてトゲのある殻を剥き、焼きます。
輪になって座り、一緒に簡単な作業をし、おしゃべりをし、
話を分かち合うというのは、とても特別で満足感のあるものです。
私は以前、妻と義父と一緒に、
義父の大阪の農場で採れた野菜を朝市で売るために
外に座って準備することを楽しんでいました。
それは、昔はどこにでもあった仕事のやり方であり、
強い社会的絆を生み出すものです。
このような働き方をして、人の役に立つ仕事をしていれば、
孤独を感じることはありません。
すぐに友人たちの大きなネットワークの中に
自分がいることに気が付くことでしょう。
焼く栗を準備しているところ(赤と白の手袋を身に付けているのが筆者)
(英語原文)
Volunteering
This evening I found myself watching a YouTube video made by ‘The Japan Reporter’ about the large numbers of people in Japan who say that they have no friends. He reports that the Japanese government has even appointed a ‘Minister of Loneliness.’ It is also a problem here in the UK, with about 7% of people experiencing social or existential loneliness. In the US, the number of men with six close friends has fallen from 50% to 24% in the past decade, and some have no friends at all. I suppose that I qualify as someone at risk of loneliness. I am 68, my children left home 12, 20 and 22 years ago, my wife died four years ago, and I live alone on an isolated farm deep in the countryside. However, I have more friends now than when I was one of a family of five living in a full house. There are several reasons: firstly, I play a musical instrument (the flute), and this is a passport to membership of orchestras and ensembles in friends’ houses; and secondly, I volunteer in two groups. One is called a ‘Repair Café,’ where once a month anybody with a skill can come to the village hall and help other people who come with broken items by sewing and repairing clothing, fixing a radio or other electrical item, fixing a puncture in a bicycle tire, re-gluing loose parts of furniture, or in my case, giving away little pots of vegetable and flower seedlings and advice on how to grow them. This is a very social activity, and I’ve made many new friends this way. My other volunteer group is different, but equally enjoyable. Twenty minutes’ drive from the town, in a sheltered valley, is a ‘food forest.’ It covers about ten hectares and consists of a huge variety of fruit and nut trees from all over the world, including Japan. These need cutting back and other maintenance. We use traditional hand tools like handsaws, hatchets and billhooks, which would be familiar to forest workers a hundred years ago, to saw and trim the trees. Unlike power tools such as chainsaws, they make little noise, so we can chat while we work together. Around this time of year, we collect hundreds of fallen chestnuts and, wearing thick gloves, we pull the spiny husks off the nuts, which we then roast. There is something very special and satisfying about sitting in a circle, doing easy work together, chatting and sharing stories. I used to enjoy sitting outside with my wife and father-in law, preparing vegetables from his farm in Osaka for the morning market. It’s a pattern of work that used to be common everywhere, and which creates strong social bonds. Working this way and helping other people, you will never feel lonely: you will soon find yourself in a big network of friends.
新型コロナウィルスによる外出自粛がきっかけで、
その問題はさらに深刻化したという話も聞きますが、
日本以外の国ではどのような対策が取られているのでしょうか。
イギリス在住の校閲者から話を聞くことができました。
※英語原文は日本語記事の下に掲載しています。
今晩、気が付くと私は、「友達がいない」と言う
日本人の多さについて「ジャパン・レポーター」という
YouTube配信者が作った動画を見ていました。
その配信者は、日本政府は「孤独・孤立担当大臣」まで
任命していると伝えていました。
ここ英国でも孤独は問題で、
約7%の人が社会的孤独や実存的孤独を経験しています。
アメリカでは、親しい友人が6人いる男性は
過去10年間で50%から24%に減少し、まったく友人がいない人もいます。
私自身も、孤独の危険にさらされている人間だと思っています。
私は68歳で、子供たちは12年前、20年前、22年前に家を出て、
妻は4年前に亡くなり、田舎の人里離れた農場で一人暮らしをしています。
とはいえ、5人家族全員で過ごしていた頃に比べれば、
今は友人も増えました。
その理由はいくつかありますが、
第一に、私は楽器(フルート)を演奏しており、
これが友人宅のオーケストラやアンサンブルの
メンバーになるためのパスポートになっていること。
第二に、私は2つのグループでボランティア活動をしていることです。
そのひとつは「リペア・カフェ」と呼ばれるもので、
月に一度、特技のある人なら誰でも村のホールに来て、
壊れたものを持って来た人たちを助けることができます。
衣類を縫ったり修理したり、ラジオやその他の電気製品を直したり、
自転車のタイヤのパンクを直したり、家具の緩んだ部分を接着し直したり、
私の場合は野菜や花の苗を入れた小さなポットを配ったり、
育て方のアドバイスをしたりしています。
これはとても社交的な活動で、
私はこの活動を通してたくさんの新しい友人を作りました。
もうひとつのボランティアグループはまた異なるものですが、
こちらも同じように楽しいです。
町から車で20分ほど離れた保護された谷間に
「フード・フォレスト」があります。
そこは約10ヘクタールの広さがあり、
日本を含む世界各国から集められた多種多様な果実や
ナッツの木で構成されています。
これらの木は、切り返しせん定などの手入れが必要です。
私たちは、手のこぎり、手おの、なたがまなど、
100年前の森林作業者になじみのありそうな伝統的な手工具を使い、
木を伐採したり刈り込んだりしています。
チェンソーのような電動工具と違って音がほとんどしないので、
みんなでおしゃべりしながら作業ができます。
この時期、私たちは何百個もの栗の実を集め、
厚手の手袋をはめてトゲのある殻を剥き、焼きます。
輪になって座り、一緒に簡単な作業をし、おしゃべりをし、
話を分かち合うというのは、とても特別で満足感のあるものです。
私は以前、妻と義父と一緒に、
義父の大阪の農場で採れた野菜を朝市で売るために
外に座って準備することを楽しんでいました。
それは、昔はどこにでもあった仕事のやり方であり、
強い社会的絆を生み出すものです。
このような働き方をして、人の役に立つ仕事をしていれば、
孤独を感じることはありません。
すぐに友人たちの大きなネットワークの中に
自分がいることに気が付くことでしょう。
焼く栗を準備しているところ(赤と白の手袋を身に付けているのが筆者)
(英語原文)
Volunteering
This evening I found myself watching a YouTube video made by ‘The Japan Reporter’ about the large numbers of people in Japan who say that they have no friends. He reports that the Japanese government has even appointed a ‘Minister of Loneliness.’ It is also a problem here in the UK, with about 7% of people experiencing social or existential loneliness. In the US, the number of men with six close friends has fallen from 50% to 24% in the past decade, and some have no friends at all. I suppose that I qualify as someone at risk of loneliness. I am 68, my children left home 12, 20 and 22 years ago, my wife died four years ago, and I live alone on an isolated farm deep in the countryside. However, I have more friends now than when I was one of a family of five living in a full house. There are several reasons: firstly, I play a musical instrument (the flute), and this is a passport to membership of orchestras and ensembles in friends’ houses; and secondly, I volunteer in two groups. One is called a ‘Repair Café,’ where once a month anybody with a skill can come to the village hall and help other people who come with broken items by sewing and repairing clothing, fixing a radio or other electrical item, fixing a puncture in a bicycle tire, re-gluing loose parts of furniture, or in my case, giving away little pots of vegetable and flower seedlings and advice on how to grow them. This is a very social activity, and I’ve made many new friends this way. My other volunteer group is different, but equally enjoyable. Twenty minutes’ drive from the town, in a sheltered valley, is a ‘food forest.’ It covers about ten hectares and consists of a huge variety of fruit and nut trees from all over the world, including Japan. These need cutting back and other maintenance. We use traditional hand tools like handsaws, hatchets and billhooks, which would be familiar to forest workers a hundred years ago, to saw and trim the trees. Unlike power tools such as chainsaws, they make little noise, so we can chat while we work together. Around this time of year, we collect hundreds of fallen chestnuts and, wearing thick gloves, we pull the spiny husks off the nuts, which we then roast. There is something very special and satisfying about sitting in a circle, doing easy work together, chatting and sharing stories. I used to enjoy sitting outside with my wife and father-in law, preparing vegetables from his farm in Osaka for the morning market. It’s a pattern of work that used to be common everywhere, and which creates strong social bonds. Working this way and helping other people, you will never feel lonely: you will soon find yourself in a big network of friends.